全米で大問題になっているフェンタニルについて

フェンタニルとは、通常、鎮痛剤として使用される、FDAからも医療用として承認されているオピオイドの一種です。

ER(集中治療室)などでも使用可能なこちらの治療剤、どうして最近アメリカで「史上最悪ドラッグ」として最重要課題になっているのでしょうか。

1フェンタニルについて

・効果効能は、リラクゼーション、多幸感、鎮痛、鎮静、錯乱、眠気、めまい、吐き気と嘔吐、尿閉、     瞳孔収縮、呼吸抑制。(DEA記事引用)

・モルヒネよりも80-100倍の強さ、ヘロインよりも50倍の強さを持つ合成オピオイドである。

・形態は、粉末、錠剤、カプセル、クリスタル、液体など様々。

・体内をより早く通過するため、短時間で過剰摂取になる可能性が高い。

2アメリカでフェンタニルが蔓延した背景

2000年に入ってから、合法に医者から処方されるオピオイド鎮痛薬に依存する人が増加し始めた。

それまではヘロインやコカイン、覚せい剤などを「違法なブラック市場」から買っていたが、フェンタニルは「合法」に手に入ることで、便利かつ手軽に手に入るものとなった。

3メキシコの麻薬密輸集団「カルテル」の存在

フェンタニルはヘロインなどに比べて安価で仕入れられることができ、利益率が高いことから、カルテルが中国から大量輸入を始めたのである。

これによって、医師からの処方が終わった患者でも引き続き購入することが出来るようになったのだ。

フェンタニルによる依存性は強いと言われている。

4フェンタニルの致死量について

ヘロイン(別名 Queen of Drug)よりもはるかに強力なフェンタニルは、ひとつまみの摂取で、体内の呼吸機能をつかさどる脳細胞がダメージを受け、呼吸停止する可能性が非常に高い。

2021年のフェンタニルによる死亡者は7万人にのぼり、どの薬物よりも銃問題よりも、アメリカの若者を殺しているのだ。

5過剰摂取してしまったときの対処法

解毒剤「ナルカン」といものを一刻も早く投与して呼吸機能を復活させる必要があるため、救急隊や警察の素早い判断が必要となる。

6パーティードラッグと呼ばれる理由

過剰摂取により死亡した年齢層は18-45歳が大半。

「レインボーフェンタニル」と呼ばれるカラフルな色をした錠剤状のものもあり、M&Msのチョコレートのように見え、ナイトクラブやホームパーティでも持ち込まれるほどである。

最も恐ろしいのは、密輸されているフェンタニルの多くは、合法オピオイド鎮痛剤に似せて売られているため、フェンタニルが混入されているのに気づかず、何錠も摂取してしまうことだ。

余談。。。

私の子供たちはまだ小学生ですが、フェンタニルの危険性について学区でミーティングが開催されるほどです。

先日、ルイジアナ州においてアイスクリームトラック(音楽などを流してかわいく塗装されたバスが公園などを廻ってアイスや駄菓子を売っている)がフェンタニルを売りさばいていたというニュースもあるようです。

アメリカでの若者たちのライフスタイルに欠かせないパーティで乱用されているなんて親としては震え上がります。さらに、微量で死に至るなんて。。。

一時前は、THC入りのかわいいグミやチョコが問題になっていました。「人からもらったお菓子は食べないように」と。フェンタニルに比べたらかわいいもんですね。

カリフォルニアはマリファナは合法ですので、きっとタバコやアルコールのように未成年が摂取するのは避けきれないことでしょう。危険なものだからと言って説明を怠るのではなく、親がきちんと話し合いの場を設けることがすごく大事ですね。日本でもお酒について、親が子供たちに上手に教えてあげているように、マリファナも子供たちが親の前で試してみるなど、そんな日が来てしまうんでしょうか。。

下記の写真は、北カリフォルニアで目にする看板です。

ペニー(1セント)よりもはるかに少ない量で死に至るフェンタニルについて忠告している看板です。

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